「激安の殿堂」として親しまれるドン・キホーテは、全国642店舗を展開する大手ディスカウントストアですが、PayPayをはじめとするQRコード決済が一切利用できないことで話題となっています。
多くの店舗でキャッシュレス決済が普及する中、なぜドン・キホーテだけがQRコード決済に対応していないのでしょうか。
その背景には、決済手数料の削減による低価格戦略と、独自電子マネー「majica」による顧客囲い込み戦略があります。
この記事では、ドン・キホーテがPayPayなどのQRコード決済を導入しない理由と、同店で最もお得に買い物をするための支払い方法について詳しく解説します。
ドン・キホーテでペイペイが使えない理由
ドンキはPayPayだけでなくQRコード決済全般に対応していない
ドンキホーテではPayPayだけでなく、LINEPayやd払いなどのQRコード決済・バーコード決済全般に対応していません。
これは主に経費削減のためといわれています。
PayPayなどのQRコード決済を導入すると、店舗側は約1.6%から2.95%の手数料を支払う必要がありますが、ドンキホーテはこれを避けて低価格での商品提供を実現しています。
PayPayをはじめとした主要QRコード決済サービスの手数料は以下の通りです。
直接契約の場合
サービス | 決済手数料 |
---|---|
PayPay | 1.60%または1.98%(税込1.76%〜2.178%) |
楽天ペイ | 2.20%〜2.95%(税込2.42%〜3.24%) |
d払い | 2.60%(税込2.86%) |
au PAY | 2.60%(税込2.86%) |
QRコード決済は個別に直接契約するのではなく、決済代行サービスを利用して全てのQRコード決済をまとめて導入する店舗も多いです。
その場合はどのQRコード決済も2.00%〜3.24%の手数料がかかるのが一般的です。
決済代行サービス経由の場合
決済代行サービス | PayPay | d払い | au PAY | 楽天ペイ |
---|---|---|---|---|
Square決済 | 3.25% | 3.25% | 3.25% | 3.25% |
Airペイ | 3.24% | 3.24% | 3.24% | 3.24% |
PAYGATE | 3.24% | 3.24% | 3.24% | 3.24% |
楽天ペイ ターミナル | 3.24% | 3.24% | 2.95% | 2.00%〜2.95% |
ドン・キホーテは国内総店舗数642店(2025年5月31日現在)もあり、年間売上数千億円の企業にとって2〜3%の決済手数料の支払いは、それだけで数十億円もの莫大な費用となります。
ドン・キホーテはPayPayをはじめとするQRコード決済をあえて導入しないことで、大幅なコストダウンを図り、商品の低価格化をしていると考えられます。
ドンキはペイペイよりも自社電子マネーmajicaの普及を優先している
ドン・キホーテは独自の電子マネー「majica(マジカ)」を発行しており、この自社サービスの利用促進を図っています。
majicaはドン・キホーテ、アピタ、ピアゴなどのmajica加盟店で利用できる電子マネーです。登録・加入は無料で、いつでもどこでもお得に利用できます。
majicaアプリに専用のクレジットカードであるmajica donpen cardを登録し、majica加盟店(アピタ、ピアゴ、ユーストアを除く)でクレジット払いすると1.5%還元となります。
さらにmajicaでは会員ランク制度もあり、年間購入額に応じて最大4.0%のポイント還元も受けられます。
majicaのアプリ会員は2025年1月現在で1600万人を突破しているといわれ、PayPayの登録ユーザー数6,900万人(2025年5月現在)と比較すると総会員数では劣りますが、独自の店舗網だけで利用できる電子マネーとしては別格の会員数を誇ります。
ドン・キホーテではこうしたmajicaによる独自の顧客囲い込みシステムがうまく機能しているため、ペイペイなどのQRコード決済事業者に多額の決済手数料を払わずに済んでいるという側面があります。
今後ドンキホーテでペイペイが使える可能性も現時点では低い
今後ドンキホーテでPayPayが使える可能性については、現実的には非常に低いと考えられます。
2025年現在、ドンキホーテからPayPayなどのQRコード決済に対応予定といった公式アナウンスは行われていません。
さらにドンキホーテは自社の電子マネー「majica」の普及を優先している状況が続いており、QRコード決済全般に対応していない方針を維持しています。
こうしたことから、今後のドンキホーテでペイペイが使える可能性は限りなく低いとされています。
majicaの会員数が1600万人を突破していることからも、独自サービスに重点を置く戦略が継続されると考えられます。
ドン・キホーテで使える支払い方法
ドンキで対応可能な主な支払い方法
ドン・キホーテでは多様な支払い方法に対応していますが、QRコード決済は基本的に利用できないという特徴があります。
利用可能な支払い方法として、まず現金払いに加えて、VISA、MasterCard、JCB、American Express、Diners、銀聯などの主要ブランドのクレジットカードが使用できます。
クレジットカードはタッチ決済にも対応しており、15,000円以内であれば暗証番号やサインを省略できます。
電子マネーでは、ドン・キホーテ独自のmajica(マジカ)を筆頭に、iD、QUICPay、楽天Edy、そしてSuica、PASMO、ICOCAなどの交通系電子マネーが利用可能です。
デビットカードやプリペイドカードも使用でき、JCBギフトカードやVJAギフトカード、ユニー商品券などの商品券も対応しています。
一方、PayPay、d払い、楽天ペイ、au PAY、LINE Payなどの主要QRコード決済は全て利用できません。例外として、メルペイのみiD決済機能を使えば支払い可能です。
またTポイントや楽天ポイントなどの共通ポイントカードも利用できません。
ドン・キホーテでおすすめの支払い方法1:majica(マジカ)
ドン・キホーテでの電子マネーmajica支払いには、PayPayなどのQRコード決済が利用できない同店において特に優れたメリットがあります。
高いポイント還元率が最大の魅力で、majicaマネーでの支払いでは基本的に1.0%のポイント還元が受けられます。
さらに年間利用金額に応じたランク制度により、最大3.0%まで還元率が向上し、ゴールド会員では通常の3倍のポイントが獲得できます。
デジタルクーポンの活用により、majicaアプリ限定のお得なクーポンで商品を割引価格で購入可能です。クーポンは会計時に提示するだけで適用され、店頭の発券機からも追加取得できます。
コスト面の優位性として、majicaの利用は完全無料で、カード発行手数料やチャージ手数料もかかりません。マジ値引きサービスでは、1,001円以上の買い物で1の位の端数が0円または5円になり、最大4円の値引きが受けられます。
ドン・キホーテでおすすめの支払い方法2:マジカドンペンカード
ドン・キホーテでのマジカドンペンカード支払いには、最大1.5%の高還元率で、majicaアプリに登録してドン・キホーテグループでクレジット払いをすると1.5%のポイント還元が受けられます。
これは標準的なカードの約3倍にあたる高還元で、月1万円の利用で150円分のポイントが貯まります。
年会費が完全無料であることも大きなメリットで、維持費がかからないため使えば使うほどお得になります。将来的にドン・キホーテを使わなくなっても年会費の心配がありません。
円満快計サービスにより、1,001円以上の買い物で合計金額の1の位の端数が0円または5円になり、最大4円の値引きが受けられます。小さな金額でも積み重ねると意外と大きな節約効果があります。
ランク制度との組み合わせで、年間利用金額に応じてさらなる還元率向上が可能で、最大5.5%もの破格の還元率を実現できます。またmajica会員向けの限定クーポンやボーナスポイントなどの特典も充実しています。
d払いなどのQRコード決済が使えないドンキにおいて、マジカドンペンカードは最も効率的でお得な支払い方法といえるでしょう。
ドンキで使えるmajicaの会員サービスとランクアップ制度
ドンキが発行する電子マネーmajicaの会員サービスは、単なる電子マネー機能を超えた充実した特典システムを提供しており、利用者の購買行動に応じて段階的にサービス内容がグレードアップする仕組みになっています。
年間の利用金額に応じて段階的にサービス内容が向上し、最大3.0%のポイント還元や様々な付帯サービスを受けることができるため、ドン・キホーテグループを頻繁に利用する場合には、ペイペイやd払いなどのQRコード決済の代わりとして十分に活用価値があるでしょう。
ドンキで使えるmajicaの会員サービスについても解説します。
majicaの会員登録による基本的なメリット
majicaの会員登録は無料で行うことができ、登録することで様々な特典を受けることができます。
まず、majicaカードをmajicaアプリに登録すると100ポイントが付与されるため、majicaのカード代金100円分が実質無料になるという入会特典があります。
また、万が一majicaカードを紛失した場合でも、majicaアプリにカード情報を登録していれば一時利用停止ができ、再発行手続きによってmajicaマネー残高やmajicaポイント、ランク等を新しいmajicaへ引き継ぐことが可能です。
会員になると、majica会員限定のお得なキャンペーンやクーポン情報をメールマガジンで受け取ることができるほか、majicaの利用を確認できるサンキューメールも受信できます。
さらに、商品の口コミを見ることができ、商品を購入したお客様からのポジティブ・ネガティブどちらの商品評価も確認できるため、購入前の参考にすることが可能です。
majica会員限定の特別サービス
majica会員は、家電製品やブランド品の一部で会員価格での買い物ができるという特典があります。ただし対象商品は店舗により異なり、アピタ、ピアゴ、ユーストア各店舗では実施されていません。
また、時計・ブランド・宝飾品のアフターサービスが10%オフになり、当社企画の家電製品(情熱価格)については無料で1年間の追加保証が受けられます。
majicaアプリ会員限定のサービスとして、全国各地の提携宿泊施設や多彩な娯楽施設、様々なライフシーンに活用できるサービスが会員特別料金で利用できるという特典もあります。
これにより、日常の買い物だけでなく、レジャーや旅行でもお得にサービスを利用することができます。
majicaのランク制度の基本的な仕組み
majicaのランク制度は、majica加盟店での年間購入金額に応じて翌年のサービス内容が決定される会員向けサービスです。
このシステムは支払い手段を問わず、国内ドン・キホーテ、アピタ、ピアゴを含むmajica加盟店での年間購入金額をmajicaに記録し、1年間のお買物金額によってランクが決定して翌1年間、ランク特典を得ることができる仕組みになっています。
会員ランクは「ビギナー」「一般」「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」の5段階に分かれており、実績に応じて毎年アップダウンします。
ランク集計期間は初めてmajicaを利用した月、もしくはmajicaカードレス発行日から12ヵ月間となっており、例えば3月18日に初めてmajicaを利用した場合、3月から翌年2月までがランク集計期間となります。
majicaのランク判定の詳細と前倒しシステム
ランクの判定において注目すべきは、前倒しでランクアップできるシステムです。ランク集計期間中でも、前年度ランクより上位のランク条件を満たすと、年度途中でもランク特典対象期間の開始日が前倒しになります。
具体的には、当年ブロンズランクの会員様が、ランク集計期間の8ヶ月目でシルバーランク条件を達成した場合、達成翌日からシルバーランク特典を得ることができます。
このため前倒し分の4ヶ月プラス翌1年間(12ヶ月)がランク特典対象期間になるという、ランク条件を早く達成した分だけランク特典対象期間が通常より長くなるお得なシステムです。
majicaの各ランクの条件と特典
ランクの達成条件は、1年間に20万円までの買い物で一般会員、20万円以上の買い物でブロンズ会員、50万円以上でシルバー会員、100万円以上でゴールド会員となります。
会員ランクに応じて、majicaマネーでのお買い物時のポイント付与率が大幅に変わります。通常のmajicaマネー利用時ポイント0.5%に加えて、ランク特典として追加で0.5~2.5%のポイントが付与されるため、最高ランクでは合計で3.0%のポイント還元を受けることができます。
ブロンズ会員になると、雨天時のみ無料で傘が提供される傘サービスや、majicaアプリでクーポンを保有できるサービスが利用できるようになります。
シルバー会員では、ポイント付与率が2%になり、一部店舗でサンプル商品の提供を受けることができます。
ゴールド会員になると、ポイント付与率が3%となり、有料駐車場の買い物時24時間無料利用、コンシェルジュフォンとしてスタッフ直通のPHSの貸出、ご贔屓コールサービスとしてマネー残高の範囲内で希望商品をお届けするサービスなど、より充実した特典を受けることができます。
majicaのランク制度利用時の注意点
ランク特典ポイントの進呈は、majicaアプリ登録されたお客様のみが対象となり、majicaマネー利用時ポイント0.5%とランク特典0.5~2.5%はそれぞれ算出されます。
また、majica登録(統合・連携)会員特典0.5%分は、ご利用翌月15日頃から順次付与される仕組みになっています。
重要な点として、majicaで支払わないときでもmajicaをレジにてご提示することで、年間のmajicaの利用金額が記録されるため、ランク判定のためには必ずmajicaの提示が必要です。
ただし、アピタ、ピアゴ、ユーストアの専門店でのお買い物はmajicaランクのお買い物累計金額に加算されないという制限があります。