不動産クラウドファンディングとは?仕組みとメリット・デメリットを解説

不動産クラウドファンディングとは不動産特定共同事業法の改正により2018年頃から始まった新しい不動産投資です。

不動産物件や不動産開発プロジェクトをファンドとしてネット経由で多くの投資家から少しずつ資金を募り、その資金で不動産のファンドを運用して得た賃貸収益や売却利益を出資した投資家に配当します。

投資家は一口1万円程度の少額から出資でき、不動産収益に基づく安定した配当収入が得られるなどのメリットがあります。

新しい投資や資産運用の方法として人気が高まっているこの不動産クラウドファンディングの仕組みをメリット・デメリットを交えてわかりやすく解説します。

不動産クラウドファンディングサービス一覧

不動産クラウドファンディング特長キャンペーン
DARWIN funding(ダーウィンファンディング)2022年8月開始。運営会社は不動産販売で700戸以上の実績あり。ファンド応募が狙いやすい。新規会員登録でPayPayポイント500円分プレゼント
Jointoα(ジョイントアルファ)東証スタンダード上場の穴吹興産が運営。関西・四国・九州の自社物件運用が中心。新規会員登録でもれなくAmazonギフト券1000円分プレゼント
TOMOTAQU(トモタク)1口10万円から投資可能。2022年3月開始。1年未満の運用期間短め案件が多い。無料会員登録でトモタクポイント2,000円分プレゼント
プレファンプレサンスマンション運用に特化。東証プライム上場のプレサンスコーポレーションが運営
ヤマワケエステート投資型クラファンやレンディングを行うWeCapital株式会社の子会社が運営。利回り10%超えのファンド実績あり。
CAMEL(キャメル)株式会社グローバルクラウドエステートが運営。ドバイの不動産ファンド組成実績あり。
OwnersBook(オーナーズブック)2014年運用開始の日本初の不動産特化型クラウドファンディング。東証プライム上場企業子会社が運営。
RIMPLE(リンプル)自社開発の都心特化物件の運用に強み。東証プライム上場企業グループが運営。
ASSECLI(アセクリ)投資用不動産取引実績1,000件以上。
COZUCHI(コズチ)未上場ながら累計募集額2000億円以上の実績。運用期間中いつでも換金可能。想定利回りを超える高配当実績あり。
ちょこっと不動産ファンドの運営分の劣後出資は30%以上。賃貸不動産はマスターリース契約で安定した賃貸収入を確保。創業30年の不動産会社が運営。
TECROWD(テクラウド)累計調達額260億円以上で元本割れ0件を継続中。1口10万円で海外新興国不動産に円建て投資が可能。
Victory Fund(ビクトリーファンド)都内近郊の収益物件や開発プロジェクトの高利回りファンドが多い。
CREAL(クリアル)累計調達額200億円超で元本割れ0件。運営のクリアル株式会社は東証グロース上場。
大家どっとこむ東証スタンダード上場のJトラストの子会社が運営。区分マンション案件が多い。
汐留ファンディング2023年1月開始。専門家集団の不動産ソリューション企業グループが運営。
ゴコウファンド福岡の五黄不動産が運営。
みらファン2022年9月開始。名古屋のみらいアセットが運営し中部圏の物件が多い。
不動産バンク平均利回り6.0%。東京、神奈川、埼玉、千葉の物件に特化。
Re:Vest(リーベスト)2023年10月開始。東京23区を中心とした高収益不動産に出資できる。
REEZIN(リーズイン)2023年10月開始。大阪の新成トラストが運営。
ALTERNA(オルタナ)三井物産グループが運用する安定稼働の大型不動産物件に出資できる不動産クラウドファンディング
ビギナーズクラウド福岡県に本社を置くGood不動産が運営。福岡市内の優良賃貸物件のみをファンド化。
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不動産クラウドファンディングとは?

不動産クラウドファンディングはインターネットを使って多くの投資家から資金を集め、その資金で特定の不動産を特定の期間だけ組合、または出資者で共同所有してその利益をシェアする不動産特定共同事業という形の不動産投資です。

不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業法(不特法)の電子取引の認可を受けた事業者だけが実施できます。

不動産特定共同事業法とは不動産特定共同事業に参加する投資家を保護するための法律で、2017年の改正によりインターネットを通じて資金を集めるクラウドファンディングに対応するための電子取引業務に関する環境が整備されました。
不動産特定共同事業法の一部を改正する法律が平成29年12月1日に施行されました|国土交通省

不動産クラウドファンディングを提供する事業者が出てきたのもこの不特法の改正後の2018年頃からです。

そのため不動産クラウドファンディングは日本では始まってまだ5〜6年程度の歴史しかない新しい投資になります。

不動産クラウドファンディングが行える事業者の不動産特定共同事業の許可要件国土交通省によって厳しく定められ、登録免許制となっています。

不動産特定共同事業者の主な許可要件

資本金第1号事業者:1億円、第2号事業者:1000万円、第3号事業者:5000万円、第4号事業者:1000万円
免許要件宅建業免許
事業者要件良好な財産的基礎、構成かつ適確に事業を遂行できる人的構成
契約要件基準を満たす契約約款(一般投資家を対象とする場合のみ)
業務管理者配置不特事業3年以上、実務講習、登録証明事業(ARESマスタービル経営管理士不動産コンサルティングマスター
国土交通省、不動産特定共同事業(FTK)法の概要より引用

不動産クラウドファンディングは不動産取引にいわゆるクラファンを組み合わせただけの怪しい投資詐欺などではなく、国の認可に基づいて安心して参加できる新しい形の不動産投資と言えます。

不動産クラウドファンディングの仕組みとは?

不動産クラウドファンディングでは基本的に1つの物件を対象にファンドが作られ、決まった期間で十分な資金が集まればファンドが成立し運用が始まります。

運用で得た家賃や不動産の売却利益は投資した資金に応じて投資家に分けられ、運用が終わると投資した資金が配当とともに戻ってくる仕組みです。

通常、マンションやアパートなど現物の投資用不動産を購入するには銀行など金融機関から借りるなどまとまった資金が必要です。

不動産投資クラウドファンディングではネット経由で多くの投資家を募ることで、一人当たり1万円程からの少額で不動産に投資できます。

さらに入居者との契約や物件の修理などの面倒な管理業務は運営会社に任せることができるので手間がかかりません。

募集ファンドに資金を投資するだけでほったらかしで不動産投資を始められる上に、ネット上で全ての取引が完了する手軽さがあります。

ファンドの想定利回りもおおよそ年率3〜8%ほどで銀行預金をはるかに超えることから、投資初心者をはじめ、ある程度の経験と資金のある個人投資家まで人気が広がっています。

不動産クラウドファンディングとJ-REITとの違い

J-REITは投資家から集めたお金でオフィスビルや商業施設などの不動産を買い、その家賃収入や売買で得られる利益を投資家に分ける金融商品です。

J-REITは証券取引所に上場しており証券会社の口座で取引できます。不動産を扱いますが実質的には投資信託のような金融商品です。

株式と同じように需給によって価格は毎日変動し、売買で利益を得ることもできますが価格変動で損失を被るリスクも当然あります。

またJ-REITは不動産が証券化されていることで実際にどのような不動産に投資しているかは特定できません。

一方、不動産クラウドファンディングは投資家から集めた資金で不動産を運用してその利益を分配するという点ではJ-REITと同じです。

しかし運用期間中は原則途中で解約や持分の譲渡・売却ができないため、日々の需給で価格が動くJ-REITに比べると価格変動は少なく安定しています。

またどの不動産に投資するのかがファンドごとに特定されているので自分自身で投資対象を判断できます。

価格変動が少なく自分自身で投資対象となる物件を精査して出資できるのが不動産クラウドファンディングとJ-REITとの大きな違いと言えます。

不動産クラウドファンディングJ-REIT
上場の有無未上場証券取引所に上場
最低投資額1万円程度から投資可能数万円〜数十万円程度から投資可能
流動性運用期間中は売却等ができず流動性は低いいつでも売却でき流動性は高い
価格変動物件の運用益が主で価格変動リスクは比較的低い株式と同様に需給で価格が日々変動する

不動産クラウドファンディングと現物不動産投資の違いは?

現物不動産投資はマンションやアパートなどの収益不動産を所有し、入居希望者に貸し出して家賃収入を得ます。

現物不動産投資は金融機関の融資を利用できるのが大きな特長で、自己資金を上回る金額を運用することで大きな利益も狙えます。

しかし現物不動産投資は物件の売買や賃貸管理でさまざまな実務が生じます。また物件の管理費用や修繕積立金、固定資産税などの各種税金といった費用もかかります。

入居者募集や家賃の回収など賃貸管理会社に委託できるものもありますが、いわゆる大家業は意外と労力やコストがかかり大変です。

一方、不動産投資クラウドファンディングはネット上でほとんどの手続きが完結し、不動産の管理はすべて運営会社に任せられるため、投資後はほぼ何もやることがありません。

基本的にはファンドの償還後に分配金や元本の入金を待つだけになります。

また不動産クラウドファンディングは初期費用が少なく、数万円程度からでも投資を開始できます。

不動産クラウドファンディングには現物不動産投資には付き物の空室リスクや建物の老朽化といった不安要素が少ないのも大きな違いです。

不動産クラウドファンディング現物不動産投資
物件所有権所有権はなく出資比率に応じた利益を得る所有権を保有
最低投資額1万円程度から投資可能物件購入と諸費用でまとまった資金が必要
管理業務運営会社が全てを管理し投資家には負担なし投資家自身で行うか外部の管理会社に委託する
流動性運用期間中の流動性は低い物件の売却や資金化が容易でなく流動性は低い
リスク分散少額の投資で複数の物件に投資できリスク分散が容易複数の物件購入が必要でリスク分散は容易でない

不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違いは?

ソーシャルレンディングはネット上で「お金を借りたい企業」と「お金を貸したい投資家」を結びつける融資の仲介サービスで、貸付型クラウドファンディング融資型クラウドファンディングとも呼ばれます。

国内ではオルタナバンクFundsクラウドバンクなどの融資型クラウドファンディングサービスがあります。

個人投資家が直接お金を貸すのは貸金業法に抵触することから、ネット上で個人投資家がソーシャルレンディング運営会社の募集するファンドを通じて借り手にお金を貸す形になっています。

ソーシャルレンディング運営会社が事業を行うためには第二種金融取引業貸金業者の登録が必要となり、不動産クラウドファンディングとは必要な許認可が違います。

またソーシャルレンディングでは借り手が複数・匿名なのが一般的で、投資家からは投資先のファンド情報がわかりずらいというデメリットがあります。

一方、不動産クラウドファンディングは投資対象のファンドの物件情報等が運営会社から詳細に提供されており、投資判断がしやすいと言えます。

不動産クラウドファンディングソーシャルレンディング
投資対象不動産投資を行うプロジェクトや物件個人や企業への融資
投資形態ファンドへの出資者となり物件の運用収益を得る投資家が融資し借り手からの返済と利息を受け取る
リターン家賃収入や物件の売却利益借り手からの利息収入
リスク特性不動産市場の変動や物件の運用状況によるリスク借り手が返済できなくなる信用リスク
リスク分散複数のファンドへの投資でリスク分散が可能複数の借り手への融資でリスク分散が可能

不動産クラウドファンディングの4つのメリット

メリット1:少額で始めることができ少額ずつ分散投資も可能

不動産クラウドファンディングは1口1万円から投資可能なサービスが数多くあり、少額で始められることが大きなメリットです。

少額取引が可能なため、少ない資金でも複数のファンド、複数の不動産クラウドファンディングへの分散投資ができリスク分散も可能です。

現物不動産投資では資金面で参入が難しかった方も不動産クラウドファンディングなら無理なく始められます。

少額から始めてみたい方、まとまった資金が用意できない方にも不動産クラウドファンディングは向いています。

メリット2:登記などの難しい手続きが不要

不動産クラウドファンディングでは投資家はファンドに出資する形で不動産プロジェクトに参加します。

物件自体の所有者にはならないため、不動産の売買に不可欠な登記手続きや名義変更等の煩雑な登記手続きが不要です。

共同出資という形で手間をかけず手軽に不動産投資ができ、忙しい人でも取り組める点もメリットです。

メリット3:個人では扱えない大規模な不動産へ出資できる

個人で不動産投資を行う場合、主に資金面での制約からどうしても区分マンションや築古アパートなど小規模な物件から扱うことになるのが一般的です。

しかし不動産クラウドファンディングなら多くの投資家が少額の資金を出資してプロジェクトを支援するため、個人投資家一人では扱いづらい大規模なプロジェクトや普通は手の出せない一等地のプロジェクトなどにも参加できます。

オフィスビルや商業施設など、通常は個人投資家には手が届かないような大型物件への投資も可能になる点は不動産クラウドファンディングの大きなメリットです。

メリット4:不動産の運用・管理を不動産経営のプロに任せられる

物件の運用・管理を不動産経営のプロに任せられる点も不動産クラウドファンディングのメリットの一つです。

現物不動産投資では物件の管理や入居者との契約交渉、修繕計画などさまざまな業務が投資家自身に降りかかります。

これに対し不動産クラウドファンディングでは運営会社にこれらの業務を代行してもらえます。

不動産クラウドファンディングの運営は不動産経営に精通し、その上で不特法などの許認可を得ている事業者しか行えません。

いわば不動産経営のプロに物件の選定から運用までの一連のプロセスをすべて適切に任せられるのも大きなメリットです。

不動産投資型クラウドファンディングの4つのデメリット

デメリット1:元本保証はなく元本割れのリスクもゼロではない

不動産クラウドファンディングでは元本保証はなく、出資した資金の元本割れのリスクもゼロではないというデメリットがあります。

まず不動産クラウドファンディングは出資法で元本保証を語って資金を募ることが禁止されています。

どこまでリスクを排除しても法律上の制限により元本保証は行えません。

また実際のファンド出資においては大多数の不動産クラウドファンディング事業者が優先劣後方式による共同出資を行い、運営会社も劣後出資者としてファンドに出資することで、投資家を優先出資者としてその資金を保護する措置をとっています。

しかし応募ファンドにおいて運営会社が出資する劣後出資分を超える損失が発生した場合は、投資家の出資分も元本割れとなってしまいます。

他の金融商品と比べると不動産クラウドファンディングは比較的リスクの低い金融商品です。

過去に元本割れが1件もなかったことをアピールする不動産クラウドファンディング事業者もありますが、元本割れのリスクもあるということは意識する必要があります。

デメリット2:レバレッジが効かず大きな利益を得るには多額の資金が必要

不動産クラウドファンディングでは想定年利回り3〜8%ほどで募集するファンドが多いです。

そのため大きな利益を得るには多額の資金を投資する必要があります。

現物不動産投資であれば金融機関からの借入によりレバレッジをかけることもできますが、不動産クラウドファンディングではそれは難しいです。

またFXや暗号通貨、株の信用取引のようなレバレッジをかけて取引をする仕組みも不動産クラウドファンディングにはありません。

不動産クラウドファンディングは比較的ローリスクな投資ですが、高いリターンを得るには相応の資金を出資する必要があります。

短期間で積極的にハイリターンを狙うタイプの投資ではないことは理解しておきましょう。

デメリット3:運用期間中は中途解約できず投資した資金を拘束される

不動産クラウドファンディングでは投資したファンドの運用期間中は原則として資金の引き出しができません。

ファンドによって数ヶ月から数年の運用期間が設けられていますが、まとまったお金が必要になっても運用期間が終了するまで出資金を引き出せません。

一度出資した後は運用期間終了まで自分の意思では資金移動させられない点は不動産クラウドファンディングのデメリットと言えます。

そのため、不動産クラウドファンディングへの出資は喫緊で必要となることのない余裕資金で行うことが大切です。

不動産クラウドファンディングに出資しすぎて手元資金が足りなくなり、積立NISAを解約したりカードローンでお金を借りるといった事態にならないようにしましょう。

デメリット4:人気の高騰により申込時の競争率が激しい

不動産クラウドファンディングは人気が高まってきているため、ファンドの募集時に案件によっては投資家からの投資申込が殺到します。

特に人気のある不動産クラウドファンディングの運営会社でファンド募集も先着順の場合、募集開始から数分で募集が終了することも多いです。

また特に応募が殺到すると思われる人気ファンドについては抽選で当選した方のみ出資可能となる場合もあります。

このように不動産クラウドファンディングの人気の高まりとともに、ファンド申込時の競争率が非常に高くなっており、十分な資金を用意していても出資できない場合があるのもデメリットと言えます。

人気が高いファンドに投資したい場合は募集開始と同時に申込が完了できるよう事前に十分に準備しておくことも必要になっています。

不動産投資型クラウドファンディングで案件を選ぶ5つのポイント

1:運用期間

不動産クラウドファンディングでのファンドの運用期間は3ヶ月〜24ヶ月ほどのものが多いです。

運用期間が長いほど投資家はその間に得られる利益が期待できるものの、資金が拘束される期間も長くなります。

不動産クラウドファンディングでは投資家はファンドに預ける金額(口数)は自分の意思で決められますが、運用期間はファンドが提示しているものしか選べません。

自分がその運用期間中いくらまでなら問題なく預けられるか、将来的な資金の必要性を考慮して投資金額を決めることが大切です。

2:想定利回り

不動産クラウドファンディングに限ったことではありませんが、一般的に想定利回りが高い案件ほどリスクも高く、逆に想定利回りが低い案件ほどリスクも低い傾向があります。

想定利回りが極端に高くなっている案件はしっかりとその中身を精査して投資判断するのが大切です。

また想定利回りが高くても運用期間が短いと得られる利益は小さくなります。

想定利回りは年利で表記されており、想定利回り5%の場合は10万円を投資すれば1年間で5,000円(税引前)の利益が得られることが期待されます。

しかしこれが運用期間が3ヶ月だった場合、利益は1,250円(10万円×5%×3ヶ月÷12ヶ月)となります。

想定利回りが高くても運用期間が12ヶ月未満の場合はその分だけ利益が少なくなることも覚えておきましょう。

3:優先劣後方式での出資割合

不動産クラウドファンディングでは多くの運営会社が自社もファンドに出資し、投資家を優先出資者、運営会社を劣後出資者とする優先劣後方式を採用して投資家から集めた資金の保護を行っています。

ここで重要なのは優先劣後方式での運営会社側の出資割合です。

ファンドに損失が出た場合、劣後出資分から損失を確定させるため、劣後出資割合の範囲の損失であれば投資家の資金は損失を受けることなく保護されます。

運営会社側の劣後出資の割合が大きいほど投資家の資金はリスクが下がり安全性が高まるというわけです。

ただし劣後出資の割合は高いほど良いというものでもない点も理解する必要があります。

運営会社の劣後出資の割合が高いほど投資家が出資できる枠が減るため、ファンドの競争率が高くなり出資するチャンスが少なくなるデメリットもあります。

劣後出資の割合が低いファンドであっても、物件のマスターリース契約(賃料保証)など他の方法でリスクを下げ、その分だけ投資家の出資枠を広げている場合もあります。

このあたりはファンドごとに運営会社の不動産のプロとしての目利きや判断に委ねられています。

出資を決める前に募集ファンドの詳細情報をよく読み込み、しっかり内容を確認することが大切です。

4:案件の適切かつ詳細な情報開示がされているか

不動産クラウドファンディングでは資金を投資するファンドの詳細な情報を知ることが大切です。

募集ファンドについては運営会社側である程度の情報提供はされています。

しかし想定利回りや運営期間だけでなく、ファンドの物件情報やプロジェクトについての詳細情報、リスクやリターン、優先劣後方式の出資割合など、投資家の立場としては他に知りたい情報もあるはずです。

こうした情報が仔細と思えるレベルまでしっかり情報開示されているかはファンドを選ぶポイントになり得ます。

現状、不動産クラウドファンディングでは怪しい業者が詐欺ファンドで資金を騙し取るような事案は過去になく安心して投資ができる環境にあります。

それでも十分な情報開示がなされていないファンドに資金を投じるのはリスクが高いことも念頭に置いておきましょう。

5:応募しやすいか(案件の規模や募集口数、抽選・先着順など)

不動産クラウドファンディングは人気の投資先になりつつあるため、投資しやすい、応募しやすいファンドを選ぶのも大切になってきています。

案件の規模は大きい方がファンドの資金規模や応募口数が多くなるので応募はしやすいです。

ただし規模の大きいファンドほど運用期間が長い場合も多いため、投資できる資金量に応じて応募口数を調整しましょう。

運営会社やファンドによって応募方法は抽選か先着順になりますが、運営歴が長く会員の投資家が多い不動産クラウドファンディングでは先着順の場合は募集開始から数十秒で募集終了となる場合もあります。

仕事が忙しい方で募集開始のタイミングでスマホやパソコンに張り付いているのが難しい方は抽選応募のファンドが向いています。

またサービス開始から日の浅い後発の不動産クラウドファンディングでは応募のしやすさという点では競争率が相対的に低く有利です。

ファンド運用実績が少ないという不安要素はありますが、ファンド情報の詳細をしっかり確認し、優良なファンドを見つけて応募することで投資機会を増やすこともできます。

こうした視点から自身にとって応募しやすいファンドを選ぶと良いでしょう。

不動産クラウドファンディングサービスの選び方

複数の運営会社を比較して使い分けよう

不動産クラウドファンディングは複数の運営会社を比較してうまく使い分けるのがおすすめです。

不動産クラウドファンディングは自社グループの不動産だけを扱う運営会社もあれば、海外不動産を中心に運用する運営会社もあります。

不動産クラウドファンディングは運営会社によってファンドの内容はもちろん、運用実績やファンドの運用方針、募集方法、資金の扱い方や入出金手数料など多くの面で違いがあります。

複数の不動産クラウドファンディングを比較し、各社サービスの特長を理解した上でうまく使い分けていきましょう。

幸い不動産クラウドファンディングは少ない資金で始められるので分散投資もしやすく、複数の運営会社を使い分けるのも容易です。

募集案件の数や傾向、過去の運用実績を見る

不動産クラウドファンディングは過去の運用ファンドの一覧を見て、募集案件の数や傾向、利回りなどもチェックしてみましょう。

過去の運用ファンドをザッと見渡すだけでも不動産の種類や所在地、運用期間などファンドの傾向や想定利回りの大まかな傾向は掴めるはずです。

住居用不動産は利回りが低くても住居としての需要は商業施設より安定しており、マスターリース契約による賃料保証もできるため安定した収益が見込めます。

レジャー施設やホテルなどは住居用不動産より利回りが高い案件もありますが、社会情勢の影響も受けやすく一般的には住居用より安定感は落ちます。

募集案件の数は多い方が不動産クラウドファンディングを成功させてきた実績にもなり安心材料になります。

比較的新しい後発の運営会社では過去のファンドの運用実績が少なく不安もありますが、同じように不安視する投資家が多いため応募の競争率が低くなる傾向があります。

運営会社の信頼性や不動産業での実績・事業規模を見る

不動産クラウドファンディングでは運営会社の信頼性や不動産業での実績、事業規模なども見て投資先を選びましょう。

不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業者の認可を得た企業しか事業を行えないため、どの事業者もおおよその信頼性は担保されています。

その上で過去の運用ファンドの実績と、不動産クラウドファンディングを除く不動産会社としての実績や事業規模にも注目しましょう。

どのような案件が得意な運営会社なのかは不動産業での実績である程度判断できます。

また事業規模が大きい会社であれば大規模な不動産プロジェクトを実施できるため、規模の大きいファンドを組成しやすいです。

不動産業での実績や事業規模にも注目して不動産クラウドファンディング運営会社を選ぶとよいです。

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